1982年8月17日、世界初となる商用音楽CDが製造されました。栄えある第1号タイトルに選ばれたのはABBAのアルバム『ザ・ヴィジターズ』です。
しかし、世界で初めて販売された商用音楽CDは『ザ・ヴィジターズ』ではありません。『ザ・ヴィジターズ』が販売された10月15日よりひと足早く、10月1日にビリー・ジョエルのアルバム『ニューヨーク52番街』が販売されたのです。そのため、世界初のCDを出したのはABBAなのかビリー・ジョエルなのかは人によって意見がわかれます。
『ザ・ヴィジターズ』と『ニューヨーク52番街』のどちらが世界初の音楽CDであるにしろ、今まで世界になかった新製品であるにもかかわらず、この2タイトルの販売時期がわずか2週間しか違わないのはどうしてなのでしょうか。
それは、CDそのものがフィリップスとソニーの共同開発で生まれたものだからです。『ザ・ヴィジターズ』のCDを出したのはフィリップス傘下の世界的なレコード会社であるポリグラムであり、『ニューヨーク52番街』のCDを出したのはソニー傘下のレコード会社であるCBS・ソニーでした。
ちなみに1982年10月1日にはCBS・ソニーから一気に50タイトルのCDが発売されています。そのなかでいちばん最初に製造されたのが『ニューヨーク52番街』だったので、このタイトルが世界で初めて販売されたCDだといわれているのです。