エグゼクティブプロデューサーのマイケル・ボーリングブルックは「ABBAはどこでも公演できたが、イギリスを選んだ」と語った。
ABBAのバーチャルコンサート『ABBA Voyage』が、イギリス経済に10億ポンドを超える効果をもたらしたことが新たな分析で明らかになった。エグゼクティブプロデューサーは、ロンドンでの公演をさらに2年間継続し、「永遠に続けたい」と考えている。
＊ABBAのバーチャルコンサートは、イギリス経済に10億ポンド以上の効果をもたらした（ABBA Voyage/ヨハン・ペルソン/PA）。
2022年5月にオープンした『ABBA Voyage』は、スウェーデンのバンドをデジタル化した「ABBAター」が特別に建設されたアリーナでパフォーマンスするもので、今月には累計300万枚目のチケット販売に達する見込みだ。
コンサルタント会社Sound Diplomacyが実施した新たな分析によると、このコンサートは最初の2年間で14億ポンド（約2,520億円）の売上を生み出した。これは、来場者による売上と支出の総額を示している。
さらに、このレポートは、イギリス経済への純価値を約7億7,500万ポンドと推定している。これは、売上総額から生産や運営コストを差し引いて算出されたものだ。
マイケル・ボーリングブルック氏（『ABBA Voyage』エグゼクティブプロデューサー）は、次のように述べた。
「ABBAはどこでも公演が可能だったが、アリーナ建設、製作、技術的な専門知識を理由にイギリスを選んだ」。
2年間で、国際的な来場者は地元での支出の31%を占めており、訪問者1人当たりの1日平均支出は115ポンド（約2万円）で、ホテル、飲食、交通費が含まれている。
ボーリングブルック氏はPA通信に次のように語った。
「私たちは、海外からの来場者が『ABBA Voyage』のためにイギリスに来ていることを知っています。海外からの来場者の90%は、ショーを見るためにイギリスを訪れており、ホリデー全体をそれに合わせて計画しています。
オリンピックやF1のイベントのように、人々の心にとっては非常に大きな存在です」。
＊写真提供：ヨハン・ペルソン。
このショーでは、革新的なモーションキャプチャ技術と事前収録されたバンドのパフォーマンスを用いて、デジタルABBAターが作成され、1970年代当時のABBAを再現している。
また、ABBAターと共に演奏する10人編成のライブバンドも特徴の一つだ。
ボーリングブルック氏は、以前にはマンチェスター・ユナイテッドやインテル・ミラノのエグゼクティブ職や、シルク・ドゥ・ソレイユでも要職を務めており、4年前からこのプロジェクトに関わっている。
この体験のために約1億4,000万ポンド（約252億円）が投資されており、投資回収には最低4年かかると彼は述べ、「初期投資家にとっては大きな賭けだった」と明かした。
ABBAのメンバー自身もこのプロジェクトに「有意義な」出資をしているという。
ボーリングブルック氏は、次のように語る。
「『ABBA Voyage』は今後も数年間は続くでしょうし、理想を言えば永遠に続けたいです。しかし、私たちが使用している土地は、将来的には住宅地になる予定であり、それは最初から分かっていました」。
現在、ロンドン・レガシー・デベロップメント・コーポレーション（LLDC、ロンドン五輪跡地を管理する組織）と協議を行なっている最中だ。
持ち運び可能なアリーナ
3,000席を有するこのアリーナは、移動可能な設計になっており、公演終了後には別の場所に移設することが可能だ。
サディク・カーンロンドン市長は、『ABBA Voyage』について「ロンドンにとって驚異的な成功物語」であり、「音楽と文化の分野でロンドンが世界をリードする理由を示している」と称賛した。
