『マンマ・ミーア!』東京・秋公演が好評のうちに2014年5月6日、千秋楽を迎えた。俳優のいつも以上の熱演に観客も大興奮!場面、場面で大きな拍手が起こった。素晴らしい「千秋楽」となった。
今回の『マンマ・ミーア!』のテーマを挙げるとすれば「樋口ドナの好演」と「新しいメンバーとのチームワーク」。特に前者に関しては、過去の樋口さんとは全く違う樋口さんを観られたことだ。「ドナ」と言う役を100%自分のモノにしていた。保坂ドナ・濱田ドナに並び、『マンマ・ミーア!』史上に残るドナになったと言っても過言ではない。樋口ドナの日頃の丹念には頭が下がる思いだ。樋口ドナのこうした自信により、メンバーの多少の入れ替えがあったにせよ、『マンマ・ミーア!』東京・秋公演を大成功に至らしめる結果になったのではないか?
ソフィの岡本さんはまるで「妖精」のような振る舞いで新しいソフィを魅せてくれた。過去ソフィには色んな俳優が挑戦しているがどのドナとも違いイキイキとハツラツに、まだ「あどけない少女」のようなパフォーマンスを観客に観せられたことは今後の『マンマ・ミーア!』に大きな「布石」となったのではないか?
八重沢ターニャは世界のどのターニャよりもターニャっぽい演技を観せてくれた。また佐和ロージーを引っ張り、樋口ドナを支えた役割を担ったことも素晴らしい。八重沢ターニャを観てしまうともう他の俳優のターニャが観られなくなってしまう。
佐和ロージーは本当によく演じてくれたと思う。青山ロージーの色があまりにも濃すぎて、当初はどうなるかと心配してが千秋楽の佐和ロージーは青山ドナと違いとてもユニークで面白く、特に最後の「テイク・ア・チャンス」は観客を大いに笑わせるに至った。
荒川サムはもう安心して観られる。『マンマ・ミーア!』は荒川さんの代表作になり得たのではないのか?荒川さんと言えばかつての芸能界のアイドル。そのイメージを払しょくする為に、荒川さんは相当な苦悩を感じ、過酷な練習をしてきたことだろう。それが実を結んだ結果となったのではないか?
味方ハリーは従来の脚本にあるハリーらしいハリーだ。味方ハリーの存在は大きく、ところどころで『マンマ・ミーア!』のカンフル剤になっていたのではないだろうか?
深水ビルは過去のビルと違い、当初は如何にビルの「野獣さ」を出せばよいのか、悪戦苦闘していたが、千秋楽の深水ビルはようやく「お恐るべきオーストラリア人のビル」になり得たのではないか?
鈴木スカイはとにかく切れがいい。ビールの話ではない。スカイと言う役は『マンマ・ミーア!』において、目立たず、しかし、ひっそりしている役でもない、とても難しい役だ。それを堂々と演じた鈴木スカイには大拍手を送りたい。一番難しい箇所「ラヴ・オン・ミー」も過去の鈴木スカイを超えた出来となった。
朴アリ、辻リサもポイントポイントで良い働きをして『マンマ・ミーア!』を盛り上げてくれた。将来が楽しみだ。
ハンドコエディ、一和ペッパーももう何も心配することはなかった。一和さんの時は「ダズ・ユア・マザー・ノウ」のところで「バク転」が観られるので、これまた『マンマ・ミーア!』の楽しみに一つではないだろうか?なお、ブロードウェイの『マンマ・ミーア!』ではこの『ダズ・ユア・マザー・ノウ』のところでスタンディング・オベイションする観客も多い。日本ではそのようなことする観客はいないが、ハンドコエディ、一和ペッパーが『マンマ・ミーア!』に置いて、それこそいい「スパイス」になったのではないか?
あっと言う間の『マンマ・ミーア!』東京・秋公演だったが、樋口さんの堂々たるドナで、今後もさらにパワーアップした演技が観れるような気がした。千秋楽では観客全員にペンライトが配られ、カーテンコールでは観客と俳優が一体化した。「ダンシング・クイーン」の場面ではペンライトが鮮やかに揺れ、まるで「ディスコ」にいるような錯覚に陥った。
なお、東京・秋公演は137回公演で、観客動員数は10万人。これで終わるのは残念だが、年内に再開することは間違いないだろう。
最後に樋口ドナが自信たっぷりに『マンマ・ミーア!』千秋楽の挨拶をしていたが、樋口ドナにとっては思い出深い『マンマ・ミーア!』になったのではないだろうか?
さて次回はどこで開催か?乞うご期待!