10. Hymn To Chess
アービターを中心に選手以外の人々が讃美歌を歌う。
11. The Merchandisers
『ワールド・CHESS・チャンピョンシップ』を利用してマーチャンダイザーは現地の人達に自国のモノや、CHESS関連グッズを売り込もうとする。
12. Global TV Fanfare
13. Chess Game #1
14. The Arbiter [Reprise]
試合が始まった。プレイヤー両者はどんどん熱くなり、またもやフレディが暴れる。彼は自分の競技場でもあるCHESS盤をひっくり返してしまったのだ。ああ、またまたなんてことを……。会場はどよめき、悲嘆にくれ、あるいは怒る人々も……。大騒ぎになる。アービターは騒ぎを静めようとする。
15. Quartet [A Model Of Decorum And Tranquility] (カルテット―格闘と平静の模範)
アービターは騒ぎを静めようとする。モロコフとフローレンスを急いで呼び寄せて話し合い、まだ会場に残っていたアナトリーも話し合いに加わる。フローレンスは、二人のソ連人からの批判に対してフレディを誠実に弁護するが、アナトリーとのやり取りにはなぜか暖かい空気がある……。どうしたと言うのか?
アービターは自分が指定した時間までフレディは来ない場合はチャンピョンの資格を剥奪すると告げる。
16. Florence And Molokov
17. 1956 – Budapest Is Rising
フローレンスとモロコフがホテルに戻って話し合う。どちらも試合の再開について心配しているものの、すぐに激しい言い合いになる。それは、フローレンスが自分の過去を話し始めたからだ。1956年にハンガリー動乱の際に国民がロシアに何をされたのか、幼少時に自分の家族に何が起こったかを話し、ロシア人は大嫌いだとモロコフに反ソ姿勢を示す。彼女は母親と国外に逃亡し、父親は行方不明でおそらく死亡しているのだろう……。やがて本題に戻った二人は、フレディとアナトリーに『山のホテル』でオフレコの会談をさせることで同意する。
フレディはフローレンスの持ちかけた交渉には気が進まなかった。それよりも、試合中の退場を理由にウォルターがエージェント手数料のアップを要求したことの方が大事だと言いだす。フレディは、フローレンスが相手側、特にアナトリーと親密になってきていることを罵倒し、二人は激しい言い争いをする。 –
18. Nobody’s Side(ノーバディズ・サイド)
フレディの悪意に疲れ果てたフローレンスは、ふと気付くと、これまでの人生のあらゆる局面に思いを巡らせていた。
https://www.youtube.com/watch?v=jfM6sfc5jeg
19. Mountain Duet(山頂のデュエット)
フローレンスは状況を立て直すことができるのではという望みを捨てず、山での会談に出かける。会談にはアナトリーは来たが、フレディの姿はない。最初はかみ合わなかったフローレンスとアナトリーの会話は、徐々に親しみを帯びてくる。明らかに恋に落ちた二人……。その時フレディが、最悪のタイミングで現れる。二人の様子を目の当たりにして怒ったフレディは、試合には戻るがもう友達でも何でもないとフローレンスに言ってのける。
20. Chess Game #2
試合再開後の数日間の結果はアナトリーが5勝1敗、アナトリーの勝利は事実上確定する。6勝した方がタイトルを獲得するのだ。
21. Florence Quits(フローレンス去る)
失意のフレディは、最終戦の前に、フローレンスと最後の言い争いをする。堪忍袋の緒が切れたフローレンスはフレディのもとを去る。
一人になったフレディはもうこれ以上試合は出来ないと、試合を棄権する。
22. Pity The Child #1(かわいそうな子)
フレディは自分がこんな人間になってしまったのは子供の頃に起因すると嘆く。
https://www.youtube.com/watch?v=MYyqeIx1bNY
俺は、9オの時、生きる事を学んだ
思いやりは無用だとずっと言い聞かせてきた
友達は自分だけ
それが一番楽でいい
二階の部屋に閉じこもり征服を企てた
いつも独りっきりで
人の助けを求めたことなんか無い
もちろん、下で喧嘩する両親に尋ねる事も無かった
拒まれるのが怖かった
かわいそうな子、野心もあり
夢もあったが
はみだしっ子
人の期待にはそえなかった
かわいそうな子、親を見透かしていた
彼らの欠点
愛の壊れていく様を見つめていた
かわいそうな子、知恵があった
俺のせいで辛いのと聞く事もなかった
うなずかれるのが怖かった
12オの時、親父が家を出ていった
わめかずすすり泣きながら
寂しくないさ、これでいいんだと言い聞かせた
俺は馬鹿で変屈
馬鹿な俺、残された者同志、おふくろと俺
絆が強まると思ったりした
おふくろはすぐに身をひる返し
俺にこう言ってのけた
一人寝のベッドには男のぬくもりが必要なのよと……
男が家へ入り込んできた 俺はドアを閉め
それから同じ様な事の繰り返し
一番安易な道を選んだ
俺にはゲームが向いている
腕は確かによかった、だが我慢できなかったのが空腹
全てからの逃げ道
かわいそうな子、武器も無い
まるで無防備
しがらみに縛られ逃げられなくて
いつも一歩身をひいていた
おふくろに様子を知らせる電話などかけない
あいつには息子の俺がどうなっていようが関係ない
かわいそうな子、でも永遠じゃない
全て俺次第だから
欲しい物は何でも
お金が有れば手に入る
あわれなのは無知なおふくろ
今頃くやしがっているぜ、多分ね
俺を失い、いかに大事なモノを失ったか
俺には知る気もない
電話などするか!そんな馬鹿な事……
おふくろに「あんた誰?」と言われるのが怖いから
23. Embassy Lament(大使館哀歌)
アナトリーはフローレンスを連れて、イギリス大使館に来ていた。ウォルターも同行してきた。イギリス大使館のクラーク達は忙しそうに働いている。パスポート手続きに、タイプライター打ちに……。
新しく王座に君臨したワールド・チェス・チャンピオンのアナトリーが政治的亡命者保護を願い出ている。最初は戸惑っていたイギリス大使館のクラーク達もアナトリーが新しいCHESS世界チャンピョンと知るや否や態度を変える。
24. Heaven Help My Heart(ヘヴン・ヘルプ・マイ・ハート)
妻子をモスクワに残していくことを認めさせようとする領事館職員とのやり取りに、アナトリーが奮闘している間、フローレンスは、ほとんど何も知らない男と人生をすっかり変えるような行動に出た状況を理解しようともがく。
https://www.youtube.com/watch?v=1_EN7EXllUk
https://www.youtube.com/watch?v=1_EN7EXllUk
もしそれが愛ならば私の時間の全てをあげる
ええ、あげますとも
彼が私を導きこれから進む道、私は気づいていたの?
計画していたの?
愛した男のために全てを
成り行きにまかせるわ
今の気持ちに
説明など必要ない
だって理由なんて無いのだから
神様、私のハートを助けて
愛し過ぎてしまったの
私の全てを知られたら
言葉も微笑も感触も変わってしまう
もうすぐ
私の事を知り過ぎて
夢も全て明るみに出て
驚きも無い
私の瞳の奥を読みとる必要も無くなるわ
時間は友達なんかじゃない
最後まで時間と張り合うわ
最高の瞬間を保てたら
熱い思いがつのる時に
神様、私のハートを助けて
ある日突然
秘密が無くなり
突然、私は彼の心から消えてなくなるかもしれないわ
見知らぬ男を愛してしまった私……
今までと同じことのくりかえりなのかしら?神様、私のハートを助けて
神様、私のハートを助けて
25. Anatoly And The Press
ウォルターはこのアナトリーとフローレンスの逃避行が大ニュースになると感じ、マスコミにリークする。秘密裡に行なわれたはずのアナトリーとフローレンスの亡命劇……。マスコミを呼んで騒ぎを大きくしたのはウォルターだとアナトリーはすぐにわかった。マスコミに囲まれ、困惑するアナトリー。マスコミから「国を裏切るのか?」と詰問され、アナトリーは否定する。アナトリーは、祖国を捨てるのではないと断固、否定する。 –
26. Anthem(聖歌)
アナトリーは亡命を認められ望み通りの自由を獲得するが、正しい決断を下したと確信すると同時に自分が決して去ることのできないものの存在も同様に強く認識するのだった。
https://www.youtube.com/watch?v=R7QJe1oxpps
誰もいない、全ては正常
だけど悲しい権力がはびこり
執着し、征服し、我が国の心までも
この愚かな連中の前に立ち上がった
大地は永遠なり
国境線が引かれるずっと昔
国旗も無ければ軍隊も無い
私の大地は生まれた
何故、国を愛するのかと問われるなら
戦争や死、そして絶望を越え
それは不変だからと答えよう
どうでもいいと思っている人達は
私が去るのに疑問を持つ……どうしてなんだ?
国境を越え異国にある私、心、未だそこにあり
何故に捨て去ることが出来ようか
どこから説明すればいいのか
ああもう面倒だ、祖国を自分の手で引き裂く奴は勝手にしろ
私の国とは
私の心の境界線がきめるものだから
<第一幕終了>