『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』封切りまであと3日となりました。当サイトでは毎日「サウンドトラック」に沿って、ABBAの名曲を解説していきたいと思います。
その第十五弾は「悲しきフェルナンド」。ABBA4枚目アルバムCD『アライバル』に収録』に収録されています。
劇中では、シェール、アンディ・ガルシアが披露しています。
「悲しきフェルナンド」FERNANDO
この「悲しきフェルナンド」はもともとフリーダのソロ・アルバム用に作られたスウェーデン語の曲だった。しかし、この曲はスウェーデンの国境を越えてヒットする可能性を秘めている……そう気付いたビヨルンとベニーは、自分たちのナンバーとして、レコーディングしようと決意した。結局このアイディアは大成功。「悲しきフェルナンド」は数々の国でチャートのトップを飾った。特にオーストラリアでは十四週連続トップを独占、この記録に肩を並べられるのはビートルズの「ヘイ・ジュード」のみだ。恐るべきこの偉業の前には、ABBAはオーストラリアを初訪問し、テレビのスペシャル番組『ザ・ベスト・オブ・ABBA』を収録。これもまた記録を塗り替えるものだった。視聴率五十四%を稼ぎ、一九六九年の月面着陸をしのぐ数の視聴者を引き付けた。
その他、イギリスや西ドイツ、オーストラリア、メキシコなど世界十三カ国でナンバー・ワンに輝き、カナダやジンバブエ、フィンランドなど五カ国で二位、スペインで三位、ABBAがあまり受け入れられなかったイタリアでも六位をマーク。米国では最高十三位だった。「ダンシング・クイーン」と並ぶABBA最大のヒット曲となった。
日本ではABBAの〝第一次ブーム〟に火をつけたのがこの「悲しきフェルナンド」だった。パナソニック(当時:松下)のCMにも投与され、世界戦略でどうしても落としたかったオーストラリアで「悲しきフェルナンド」をナショナルのCMで起用し、見事にオーストラリアを口説き落としたのは今では〝逸話〟となって残っている。
ミュージカル『マンマ・ミーア!』ではドナが三人男性と久々に会う前に鼻歌を歌っているのが、この「悲しきフェルナンド」だ。
悲しきフェルナンド*歌詞翻訳
フェルナンド あなたには聞こえるかしら
私は今 昔のことを思い出しているの
星が出て 青く輝いていたあの夜を
炎の中に フェルナンド
あなたはやさしくギターを弾きながら
歌を口ずさんでいた
静まりかえった中で
私にはどこからか戦いを告げるドラムの音が
こだまするのが聞こえていた
フェルナンド 戦いは近づいていた
過ぎて行く時は永遠だと思われていた
そして 若かったから
誰も死について考えていないと思っていました
でも 今 あの時おもいきり泣きたかったことを告白することは
少しも恥ずかしくありません
あの夜、空気の中に何かがあった
星たちは、きらきらと輝いていて
星たちは私たち2人のために、そして自由のために輝いていたの
私たちは決して負けることも 後もどりすることも考えなかった
もし もう一度そのことをしなければならなかったら
私はおなじことをするでしょう
もし もう一度そのことをしなければならなかったら
私は同じことをするでしょう
フェルナンド あなたも年をとりました
長い間あなたの手の中に銃を見たことはないわ
あのドラムの音が聞こえるかしら?
フェルナンド
リオ・グランデを渡ったあの恐ろしい夜をまだ覚えてるかしら?
そして今もあなたの目を見ればわかる
この国の自由のために戦ったことを誇りに思っているのよ