『The Show-A Tribute to ABBA』ジャパン公演！間近！！③-ABBA JAPAN

ABBAは現役時代の1972年～1983年までにLIVE（コンサート）を130回行ったが、全世界を回ったたわけではなかった。1980年3月に日本公演を行った後、実はドイツ公演開催が決定していたが「ABBAがドイツ公演を開催したら、飛行機を爆破する」という爆破予告があり、結局、ドイツ公演は「幻の公演」となった。それ以外にも旧ソビエト連邦、南米からもオファーがあったが、実現しなかった。

The Showはどうだろう？アメリカ、カナダ、フィンランド、エストニア、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、オランダ、ドイツ、オーストリア、ルクセンブルグ、スイス、ベルギー、イギリス、スコットランド、ウエールズ、北アイルランド、アイルランド、スペイン、イタリア、インド、フィリピン、カザフスタン、マルタ、キプロス、モロッコ, フェロー諸島、ハンガリー、チェコ、スロベニア、ブラジル、そして日本とヨーロッパを中心にABBA以上の公演回数をこなしている。その数はABBAの6倍。

ツアーは本国でLIVEを行うのとは訳が違う。自宅とは違うホテル暮らし、異なる食事や飲み物、言葉の弊害などなど。多くのストレスがかかる。いくら『プロ』とはいえ、毎回『同じテンション』で全公演をこなすのは並大抵のことではできない。

The Showに取材を試みた。場所は彼女たちの母国スウェーデン。OFFの中、リラックスしてインタビューに応じてくれたが、穏やかな口調の中にもファインダーから垣間見る彼女たちのプロポーションはLIVEを行うときとさほど変わらない。もちろんLIVE直前にはこれ以上に体を絞ることだろうが、現役を続ける間はたとえ自分たちの国に居て緊張感がないとは言え『最高のステージ』を魅せるには日頃の努力を怠ることはできないのだ。

そして何よりも驚いたことは彼女たちのハーモニー。日本のABBAファンに人気があった「ザッツ・ミー」をこちらからのリクエストなしでいきなり披露。これこそ、日々のヴォイストレーニングの成果の賜物だ。

世界には数え切れないほどのトリビュートバンドがいる。だがThe Showのようにストイックに日々過ごしているバンドは果たしてどのくらいいるのだろうか？

スウェーデン、地球最北端の地である。取材に行った時、首都ストックホルムは「ほぼ白夜」だった。暑かったり、寒かったり、いきなり雨が降ってきたりとThe Showにとっては決して完璧な状態で体調を維持できるわけではない。それでもABBA同様、世界中から大人気を博している理由は、やはり母国スウェーデンにあったのだ。

澄んだ空気にさえずる鳥の声。多くの島で構成されているストックホルムという街。ストックホルムではどこに行っても必ず海や港と出くわすのだ。車社会ではあるにも関わらず日本やアメリカとは違い、空気汚染がない。食事は日本人にはあう。比較的体が大きい女性が多いが欧米にありがちなメタボがいない。街を歩いていても『心穏やか』な人が多い。

スウェーデン人は「ヨーロッパの日本人」と言われているが、納得できる。チャンスあらば、他の国を戦略しようとするかつての列強国とは違う。税金も交通費も高いが、スウェーデン人は自分の国を愛し、自分の国に誇りを持っている。それは本家本元ABBAを観ても感じた。The Showが多くの国から愛されているのはスウェーデンに実際に行かないとわからないかもしれない。

リラックスとプライド。彼女たちの『本当の姿』は本国スウェーデンだからこそ見られたのかもしれない。9月の日本公演がますます楽しみでならない。