当クラブの取材によると、今秋発表予定であった“ABBAの新曲”テレビ特番が頓挫したことが明らかになった。
そもそもは昨年12月に「I Still Have Faith In You」が、今春に「Don’t Shut Me Down」がそれぞれ、NBCとBBCで放送されるABBAテレビ特番で御披露目される予定であったが、昨年末突如延期となり、その動向に注目が集まっていた。そんな矢先、ABBAのリーダー、ビヨルンが「今秋までには放映されるだろう」と発表した。しかし北半球の季節は既に秋も半ば。未だにその気配はない。そこで筆者はABBA(マネージャー、ゴーレル・ハンザー)に事の真相について取材を試みた。
東山「ABBAの新曲が、今秋にNBCとBBCで披露されると聞いて、(ファンは)待っているのですが、なかなか情報が入ってきません。実際にところ、どうなっているのでしょうか?」
ゴーレル「テレビ特番の話はなくなりました」
東山「えっーーーー。ではABBAの新曲2曲はいつ、どのような形で発表されるのですか?」
ゴーレル「りんたろう、ごめなさい。まだわからないの」
東山「今年の4月から世界ツアーを行なう予定だった『ABBAター』(ツアー)はどうなったのでしょうか?」
ゴーレル「今は何もお話しすることはないわ」
東山「では時が来るのを待てと」
ゴーレル「その通りです」
これには驚いた。ABBAターツアーが「裁判沙汰」になり、ようやく解決したと安堵していたのだが、ここにきて“ABBAの新曲発表”まで暗礁に乗り上げた。
ミュージカル・映画『マンマ・ミーア!』の成功で、ABBAは『21世紀最初に大成功を収めたミュージシャン』となり、所謂“ABBAマネー”が世界を賑わせた。これに乗じた連中がABBAマネーに群がり、はじき出された輩が「ABBAの活動にイチャモンをつけている」のがその背景にある。
バルブの時代と90年代の2度にわたり、アメリカと欧州の商社連合が”ABBAを買収”しようとし、世界に衝撃が走ったが、ABBAはきっぱりと断った。この商社連合には日本の商社も加わったいた。
1972年「木枯らしの少女」が日本だけで大ヒットし、それに欲をもった連中が、『ビヨルン&ベニー』を日本で世界デビューをさせようとしたが、見事にその夢は絶たれた。その時のプロデュース・メンバーの一人、ニッポン放送・元社長亀渕氏に取材したことがある。
亀渕氏「俺達は『ビヨルン&ベニー』を(1972年の)世界歌謡祭で優勝させ、“世界デビュー”を計画していたんだ。ところがどうだい。空港に着いたビヨルンとベニーのそばにはカワイ子ちゃん(アグネタとフリーダのこと)がいるじゃない?勝手にを連れてきてわけだな。おまけに彼女たちにコーラスで歌わせると言ってきたんだ。まあそれだけならまだしもこちらが用意していた曲を歌わないで『サンタローザ』とかいう曲を歌うと言い出したんだ。腹が立ったね。せっかく俺たちが名もない二人を世界デビューさせようとしているのに、それを蹴るなんて。しかもヨーロッパのド田舎・スウェーデン出身の歌手だぜ。こいつらはもう終わったな、可哀そうになぁと思い、世界歌謡祭では1つも賞を与えなかったね」
東山「その時、ビヨルンとベニーは“ビヨルン&ベニー、アグネタ&アンニフリード”と言うグループを結成し、『ピープル・ニード・ラヴ(愛、それは一番大切なもの)』(1972年3月29日録音)で既にデビューしていたのを知らなかったのですか?」
亀渕氏「そんなの知らないよ。彼らから何にも聞いていなかったからね」
東山「いくら今のようにネットがない時代であっても、それはおかしいんじゃないですか?」
亀淵氏「俺たちの知ったことじゃないよ」
東山「この時、亀渕先輩達が、ビヨルンとベニーに1つも賞を与えなかったことに対して、初代ABBAのマネージャーのスティッグ・アンダーソンは『日本の野郎、ふざけやがって』と怒っていましたよ。2002年12月に劇団四季『マンマ・ミーア!』初日に、当初来る予定であったビヨルンとベニーがドタキャンした原因の1つが亀淵先輩たちの『ビヨルン&ベニーいじめ』に起因しているのではないですか?」
亀渕氏「何言っているんだ!たとえ、そうだとしても俺たちには関係ないね。ビヨルンとベニーはもともと我儘なんだよ。劇団四季『マンマ・ミーア!』も浅利さんのあの古臭い翻訳じゃあ、ウケが悪いんじゃないか?まあ1年続けばいいほうじゃない?それよりもビヨルンとベニーはその後ABBAとしてデビューし、世界制覇できたのは、俺たちのおかげだと思わないかい?ABBAから感謝されてもいいはずなのに感謝すらされないのは甚だ彼らが礼儀知らずだと感じるね」
日本がABBAにしてきたことは『大変無礼なこと』だと筆者は思う。しかも1978年・1980年にABBAが来日した時の記者会見では、ABBAの楽曲そのものへの質問はなく、「アグネタのお尻に1億円保険がかけられたのは本当か?」とか「夫婦で24時間、仕事もプライベートも一緒にいて飽きないか?」などワイドショーが喜ぶネタばかり質問攻めした。そんなABBAは終始笑顔だったが、一度だけ激怒した場面があった。「日本では私のことアグネサと読んでいるようだけど、私の本当の名前はアグニエッタよ」。この時ばかりは場内に緊張が走った。あの、アグネタが怒ったのだ!翌日、当時のABBAのレコード販売会社であるディスコメイト・レコード社は早速『アグネサ』から『アグネタ』に変更した。以後、日本ではアグネタ又はアグネッタと呼ばれるようになったが、オールドABBAファンは未だに『アグネサ』と呼んでいる。
さあ、ABBAの新曲はどうなってしまうのか?今後、この場で改めて報告したい。