『ABBA・ジ・アルバム』 (1977)
スネークバイト・フィルム・フェスティバル(Snakebite Film Festival)(※)の伝統として、オープニングナイトには楽しく元気の出る作品を上映することになっている。
今年の上映作品は『マンマ・ミーア!』。この映画は、ABBAのグレイテスト・ヒッツを使った舞台ミュージカルを基にした作品だ。
ABBAが好きなら、まず『ABBA Gold』を買うのがおすすめだ。このコンピレーション・アルバムは、1992年に発売された際に予想外の大ヒットとなった。
しかし、B面曲やアルバム収録曲はどうだろう?
AMラジオで流れたヒット曲の“外側”にも、まだまだたくさんの「ABBAの金塊」が埋もれている。
そこで今回紹介するのが、1977年の名作『ABBA・ジ・アルバム』だ。
このアルバムは、同時期に公開された映画『ABBA The Movie』と同時リリースされた。(ちなみに映画の方は… 2時間を無駄にしたくなければ観なくてOK!)。
ディスコ全盛期に生まれた『ABBA・ジ・アルバム』
『ABBA・ジ・アルバム』は、ディスコブームの絶頂期にリリースされ、
代表曲「テイク・ア・チャンス」を収録。
この曲は、ABBAの楽曲の中で「ダンシング・クイーン」に次ぐほどのヒットとなり、
特に北米では彼ら最大級の成功曲となった。
しかし、このアルバムには隠れた名曲も数多く存在する。
- イーグル(アルバムのオープニング曲)
- ABBA史上最も長い曲として知られる。
- 『かもめのジョナサン』(Jonathan Livingston Seagull)と、
アメリカのロックバンド「イーグルス」にインスパイアされた楽曲。 - 自由をテーマにした歌詞が印象的。
“Flying high, high, I’m a bird in the sky…”
(「高く、高く飛ぶ、僕は空を舞う鳥…」)
- ワン・マン、ワン・ウーマン
- 関係を修復しようとする男女の葛藤を描いたバラード。
- この曲は、後にリリースされた「ザ・ウィナー」と
対になるようなテーマを持つ。
- サンキュー・フォー・ザ・ミュージックc
- ABBAを象徴する名曲のひとつ。
- 『ジ・アルバム』に収録されたものの、
当初はミュージカル「The Girl with the Golden Hair」のための曲として作られた。
- きらめきの序曲
- 独特なビートと深みのあるメロディで、
他のABBAソングとはひと味違う名曲。
- 独特なビートと深みのあるメロディで、
アメリカでは不振だったが…
『ABBA・ジ・アルバム』は、ABBAにとって最もアメリカで成功したアルバムだった。
だが、ヨーロッパで絶大な人気を誇っていたにもかかわらず、アメリカ市場では「失敗」だと考えられていた。
その理由は驚くべきことに、彼らのシングルのうち、トップ40入りしたのはわずか4曲だったからだ。
とはいえ、イギリスでは大成功を収め、
1978年の英国アルバムチャート年間第3位に輝いた。
ちなみに1位と2位は、ジョン・トラボルタ主演の映画サウンドトラックだった。
- 1位: 『Saturday Night Fever(サタデー・ナイト・フィーバー)』
- 2位: 『Grease(グリース)』
新しいABBAの魅力を発見するなら…『ABBA・ジ・アルバム』
ABBAの名曲は、ベストアルバムだけでは語り尽くせない。
B面曲やアルバム収録曲にこそ、彼らの音楽の深みが隠されている。
もしまだ聴いたことがないなら、ぜひ『ABBA・ジ・アルバム』をチェックしてほしい。
そこには、ABBAの新たな世界が広がっている。
※スネークバイト・フィルム・フェスティバル:所在地: カナダ、ブリティッシュコロンビア州ペンティクトン (Penticton, BC, Canada)でおこなわれる映画イベント。