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劇団四季 マンマ・ミーア! WATERLOO RADIO

『CHESS』⑩取り引き(不成立)/かわいそうな子

フレディは強引にアナトリーのもとに乗り込み「取り引き」をもちかける。そう「アナトリーが試合に負ける」か「勝って、ソ連に帰順するか?」。そうすればフローレンスのお父さんは解放されるという「取り引き」だ。ただでさえもスヴェトラーナが、ここバンコクに来て動揺を隠せないのににもかかわらず、アナトリーは気が狂いそうだった。だがアナトリーは見事な調子でもって最初の2ゲームを勝ち進む。アナトリーの連勝がここで滞ることになったら、ソビエトから入手したというフローレンスの父にまつわる話を彼女の耳には入れずにおこうとフレディは切り出した。この情報とは非常に好ましくないもので、彼女の父は、実は〝英雄〟ではなく裏切り者で、多くの人の死を招いた張本人だというものだった。アナトリーはフレディの話を信じるべきか迷うが、やはり彼を追い出してしまう。今度はフローレンスに「取り引き」を迫るフレディは、彼女が彼の元に戻ってくれたなら二人は史上最高のチームに成り得るばかりか、彼女がいつも望んでいた彼女の過去についての情報をも提供しようと持ち出した(その内容の良し悪しについては彼は触れない)。彼女もまた「取り引き」を拒む。フレディは何としてもフローレンスを自分の元に戻したかったのだ。

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陰謀はますます激しくなる。登場人物のそれぞれが競うように策略を繰り広げ、それが競技会でのCHESS盤上の策略にも影を落としていく。アービター(審判)は、この状況を監視しようとするがもはや到底無理だ。モロコフは、スヴェトラーナにアナトリーをソ連に連れて帰るように圧力をかけ、夫婦は気まずい対面をする。ウォルターは、フローレンスの父親はブダペストで死亡しておらず、ソ連で30年間投獄されているという知らせでフローレンスを動揺させる。この選手権が「いい結果」になれば、フローレンスの父親は西側諸国への移動が許されるというのだ(だが、そのためには、アナトリーは、「試合に負ける」か、あるいは「勝ってソ連に戻ら」なければならない。フローレンスは、このアナトリーの選択を知らない)。フローレンスはウォルターの言うことを信じていいのかどうかわからない。ウォルターは、フローレンスはこちらの思い通りに動くだろうとモロコフに伝えるが、念のためフレディの協力も取り付ける。フレディは、アナトリーがフローレンスの為に試合を放棄するように企てるが、アナトリーに一蹴されるばかりか、フローレンスにも軽蔑される。

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フレディは、彼自身のフラストレーションとフローレンスの拒絶が原因で、自己憐憫(じこれんびん)と怒りの感情をついに爆発させ激怒する。もうフローレンスは自分の元に戻らないことをフレディは悟る。

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https://www.youtube.com/watch?v=MYyqeIx1bNY

https://www.youtube.com/watch?v=Z0Jrld6hKHY

https://www.youtube.com/watch?v=xOIj2k7kwAM

 

<かわいそうな子/PITY THE CHILD>

 

俺は、9オの時、生きる事を学んだ

思いやりは無用だとずっと言い聞かせてきた

友達は自分だけ

それが一番楽でいい

二階の部屋に閉じこもり征服を企てた

いつも独りっきりで

人の助けを求めたことなんか無い

もちろん、下で喧嘩する両親に尋ねる事も無かった

拒まれるのが怖かった

かわいそうな子、野心もあり

夢もあったが

はみだしっ子

人の期待にはそえなかった

かわいそうな子、親を見透かしていた

彼らの欠点

愛の壊れていく様を見つめていた

かわいそうな子、知恵があった

俺のせいで辛いのと聞く事もなかった

うなずかれるのが怖かった

12オの時、親父が家を出ていった

わめかずすすり泣きながら

寂しくないさ、これでいいんだと言い聞かせた

俺は馬鹿で変屈

馬鹿な俺、残された者同志、おふくろと俺

絆が強まると思ったりして

おふくろはすぐに身をひる返し

俺にこう言ってのけた

一人寝のベッドには男のぬくもりが必要なのよと……

男が家へ入り込んできた 俺はドアを閉め

それから同じ様な事の繰り返し

一番安易な道を選んだ

俺にはゲームが向いている

腕は確かによかった、だが我慢できなかったのが空腹

全てからの逃げ道

かわいそうな子、武器も無い

まるで無防備

しがらみに縛られ逃げられなくて

いつも一歩身をひいていた

おふくろに様子を知らせる電話などかけない

あいつには息子の俺がどうなっていようが関係ない

かわいそうな子、でも永遠じゃない

全て俺次第だから

欲しい物は何でも

お金が有れば手に入る

あわれなのは無知なおふくろ

今頃くやしがっているぜ、多分ね

俺を失い、いかに大事なモノを失ったか

俺には知る気もない

電話などするか!そんな馬鹿な事……

おふくろに「あんた誰?」と言われるのが怖いから

 

〔Frederick]
When I was nine
I learned survival–
Taught myself not to care.
I was my single good companion,
Taking my comfort there.
Up in my room
I planned my conquests–
On my own,
Never asked for a helping hand.
No one would understand.
I never asked the pair who fought below,
Just in case they said no.

Pity the child who has ambition–
Knows what he wants to do,
Knows that he’ll never fit the system
Others expect him to.
Pity the child who knew his parents–
Saw their faults,
Saw their love die before his eyes.
Pity the child that wise
He never asked, “Did I cause your distress?”
Just in case they said yes.

When I was twelve my father moved out–
Left with a whimper, not with a shout.
I didn’t miss him, he made it perfectly clear,
I was a fool and probably queer.
Fool that I was, I thought this would bring
Those he had left closer together.
She made her move
The moment he crawled away–
I was the last the woman told,
She never let her bed get cold–
Someone moved in, I shut my door.
Someone to treat her
Just the same way as before.

I took the road of least resistance,
I had my game to play.
I had the skill, and more, the hunger–
Easy to get away.
Pity the child with no such weapons,
No defence,
No escape from the ties that bind,
Always a step behind.
I never called to tell her all I’d done,
I was only her son.

Pity the child, but not forever,
Not if he stays that way.
He can get all he ever wanted
If he’s prepared to pay.
Pity instead the careless mother–
What she missed, what she lost
When she let me go.
I wonder does she know?
I wouldn’t call–
A crazy thing to do,
Just in case she said who.


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