ウォータウン発 — 木曜の夜、春分の日から約12時間後、冬の寒さに疲れた観客たちは、想像上の陽光降り注ぐギリシャの島へと旅立ち、家族、友情、自己発見をめぐる心温まる物語と、思わず口ずさみたくなるような前向きな音楽に包まれることができるでしょう。
ウォータウン高校音楽部が『マンマ・ミーア!』を今夜と金曜日の午後19時、そして土曜日の午後13時と午後19時に、WHS講堂(ワシントン通り1335番地)で上演します。
『マンマ・ミーア!』は2001年から2015年までブロードウェイで上演され、多くの賞を受賞。2008年に映画化され、2018年には続編も公開されました。この作品は、自分の実の父親を探す若い女性の物語です。結婚式の前夜、父親の正体を知りたい娘は、母の過去から3人の男性を島に呼び寄せます。彼らが最後にこの島を訪れたのは20年前のこと。ABBAの楽曲がふんだんに使われており、「ダンシング・クイーン」「スーパー・トゥルーパー」「ヴーレ・ヴー」「SOS」「ザ・ウィナー」そしてタイトル曲「マンマ・ミーア」など、名曲が並びます。
ABBAは1972年にストックホルムで結成されたスウェーデンのポップグループ。1970年代から80年代初頭にかけてヒット曲を連発し、今もその名曲たちの余韻は色濃く響き渡っています。
WHSのボーカル・音楽教員で今回の舞台の演出を務めるレベッカ・A・ローズ先生は、「台本とオーディション資料を配布したとき、生徒の多くがすでにABBAの曲を知っていてファンだったのは本当に驚きでした」と語ります。
その反響は過去最大のオーディション参加人数へとつながり、3日間で50人もの生徒が主要・脇役問わず役を希望しました。
「ABBAの楽曲と『マンマ・ミーア!』には、すべての世代に響く何かがあります。生徒たちも、スタッフも、私自身も、この舞台作りを最高に楽しんでいます」とローズ先生。
この大きな関心のおかげで、4回の公演に向けて2組のキャストを編成することができました。
「ウォータウン高校には素晴らしい才能がたくさんあります。できる限りダブルキャストで対応するようにしていて、キャスト・クルー・大人のボランティアを合わせると、約90人が『マンマ・ミーア!』に関わっています。コロナ後、多くのプログラムで参加者が減った中、これほど多くの人が関わってくれているのを見ると、本当にうれしいです」。
*ウォータウン高校の生徒ミア・ケリーが、『マンマ・ミーア!』でドナ・シェリダン役を演じるために曲のリハーサルをしている。写真:マイケル・シャネリー。
『マンマ・ミーア!』の気分
リハーサルの直前、キャストのうち3人のリード役のシニア(最上級生)が舞台について語ってくれました。
「子どもの頃、夏にベッドで『マンマ・ミーア!』を見て、ソフィのようにギリシャの島で踊りたいって思ってました」と語るのは、主人公ドナ・シェリダンを演じるライリー・セントジョセフさん。「自分がこの作品に出演できるなんて夢みたい。本当に嬉しいです。ちょっとクサい表現だけど、本音です!」。
ロージー・ムリガン役のアメリア・クラプサーさんは、「うちの両親は音楽が大好きで、ABBAは昔から私の生活の一部でした」と話します。両親や祖父母がABBAのアルバムをたくさん持っていたそうです。
「『マンマ・ミーア!』は子どもの頃のお気に入り映画でした。舞台をやるって聞いてすぐに、ロージーの役を狙おうと決めてました!」。
ターニャ役のハーパー・レーンさんは、小さい頃はABBAの音楽に馴染みがなかったそうですが、「中学1年生の時に『音楽がある学校週間』でABBAメドレーをやって、初めてちゃんと聴きました。それ以来大好きになって、『マンマ・ミーア!』をやると聞いて本当にワクワクしました」。
この3人はWHSや中学校のミュージカルに何年も関わっており、舞台経験が人生を豊かにしてくれたと語ります。リハーサルは昨年12月から始まりました。
「ミュージカルの季節が一番好き」と語るセントジョセフさん。「仲間と過ごす日々が、学校に行くのを楽しみにしてくれます。みんな優しくて思いやりがあって、毎日が最高なんです」。
「ミュージカルは新しい友達を作ったり、自分を成長させたりするのに最適な場です」とレーンさん。彼女は以前はセリフなしの役でしたが、今年は初の主要キャストに抜擢されました。
「最初はとても緊張して、自分にこんな役ができるとは思えませんでした。でも、今こうして演じられるのがすごく嬉しいです」。
舞台外でも自信を得たと語るレーンさん。「人前で話す力もついたし、すごく良い経験です」。
クラプサーさんも舞台を通じて自信を得たそうです。「私もハーパーと同じで、最初はちょい役で、すごく緊張して舞台恐怖症だったんです。でもローズ先生が支えてくれて、今では自分の声を出せるようになりました」。
『マンマ・ミーア!』はユーモアもたっぷりで、「観客の気分を上げてくれて、1日を明るくしてくれる力があると思う」とクラプサーさん。
「この舞台は主演だけのものじゃないって、観客に伝えたい」とセントジョセフさん。「本当にみんなが重要なんです。『村全体が必要』って言葉がぴったりで、舞台上には常に誰かがいて、セリフがなくても歌って踊って支えてる。そういうチームワークこそ、私たちのコミュニティに必要なことなんです」。
卒業後、クラプサーさんはキューカ大学(キューカ・パーク)、レーンさんはセント・ボナヴェンチャー大学、セントジョセフさんはナザレス大学(ピッツフォード)に進学予定です。
「ライリー、ハーパー、私は実生活でも親友なんです」とクラプサーさん。「舞台上でも親友を演じているので、その絆がそのまま表れていて、それが本当に楽しい経験です」。
舞台裏
今回の舞台セットには噴水やバルコニーもあります。「セットはすべて舞台スタッフが一から作ってくれました」とクラプサーさん。
レーンさんは「ここ数年はほとんどプロジェクションを使ってたので、こうやって物理的なセットがあるのは感動的です」と語ります。
「今回は、またしっかりとした物理的なセットに戻して、プロジェクションが使えるところだけ組み合わせました」とローズ先生。「高校には素晴らしい制作・デザインチームがいて、今回のセットはプロジェクションに頼らずにすべて物理的に作り上げられています」。
時間の経過を表すために、バックライトのついたサイクル幕を使用。それ以外はすべて物理的に作られた、美しいセットです。
「制作チームは1月4日から取りかかってくれていて、2階建てのギリシャ風タベルナまで完成しています!舞台前方には桟橋も設置して、観客がまるでギリシャの島にいるかのように感じられるよう工夫しました」。
公演詳細
演目:ウォータウン高校音楽部による『マンマ・ミーア!』(※)
日時:木曜・金曜 午後19時、土曜 午後13時および午後19時
場所:WHS講堂(ワシントン通り1335番地)
入場料:一般5ドル(前売り券は高校事務所で販売)
備考:PG-13(13歳以上推奨)
*フィンリー・シュワルツが『マンマ・ミーア!』でソフィ・シェリダン役としてソロのリハーサルを行なっている。ウォータウン高校で木曜日から始まる4回の公演には、2つの別々のキャストが出演する。写真:マイケル・シャネリー。
*サミュエル・デマルコ(ハリー役)とミア・ケリー(ドナ役)が、ウォータウン高校で『マンマ・ミーア!』のシーンをリハーサルしている。写真:マイケル・シャネリー。
*左から、キリアン・ファーバー(ビル役)、アンディ・メリーマン(サム役)、ラフィー・デイビス(ハリー役)がシーンのリハーサルを行っている。写真:マイケル・シャネリー。
*左から、ラフィー・デイビス(ハリー役)、エヴァンジェリン・レーン(コーラス)、キリアン・ファーバー(ビル役)、フィンリー・シュワルツ(ソフィ役)が『マンマ・ミーア!』のシーンをリハーサルしている。写真:マイケル・シャネリー。
*左から、ミア・ケリー(ドナ役)とケルシー・ドナト(ソフィ役)が、ウォータウン高校のミュージカル『マンマ・ミーア』のシーンをリハーサルしている。写真:マイケル・シャネリー。
※「ウォータウン高校(Watertown High School)」は、アメリカ・ニューヨーク州北部にあるウォータウン市に位置する公立高校です。略して WHS とも呼ばれています。
この高校は学業だけでなく、音楽・演劇・アートなどの芸術活動にも力を入れている学校で、特に毎年行なわれるミュージカル公演は地域でも人気があります。今回の『マンマ・ミーア!』のように、生徒たちが本格的な舞台に挑戦し、キャスト・クルー・教職員・保護者が一体となって作品を作り上げています。
※「WHS講堂(ワシントン通り1335番地)」とは、アメリカ・ニューヨーク州のウォータウン高校(Watertown High School)の構内にある講堂(Auditorium)のことです。