エイミー・チャーチ(Amy Church)は、自分が何に飛び込んでいるかを分かっていました。彼女は、ショハリー・ジュニア/シニア高校(Schoharie Junior/Senior High School)(※)で上演される『マンマ・ミーア!』の演出を引き受けたとき、舞台裏にあるすべての困難を理解していたのです。公演は3月21日(金)から23日(日)までの週末限定です。
彼女は前年にこの演劇プログラムでアシスタントディレクターを務めており、全体を見渡したときに「自分がやらなければ、この公演自体がなくなってしまうかもしれない」と感じたのです。
*ショハリー・ジュニア/シニア高校の生徒たちが『マンマ・ミーア!』を上演。
チャーチはニューヨーク州サウス・グレンズフォールズ出身で、夏には故ミッキー・ルース氏が運営していた「レイク・ジョージ・ユースシアター」でミュージカルに出演していました。また、オールバニー大学(UAlbany)で演劇を学び、プロクターズ劇場でも働いた経験があります。
生徒数が900人に満たないこの学校で代用教員として働いているチャーチは、直面する課題を十分に理解していました。前任の演出家はすでに引退しており、衣装係、照明デザイナー、音楽監督もいない。 さらに、春のスポーツシーズンと公演が重なり、野球部と技術リハーサルの時間を共有する必要がありました。
「今の時代、子どもたちの関心を演劇に向けるのはどんどん難しくなっています。
中にはスポーツの遠征チームに全力を注いでいる生徒もいて、今の子たちは“自分が時間的にできること”をすごく意識していると思います」とチャーチは語ります。
それでも、どう乗り越えたのか?
「『マンマ・ミーア!』を選んだのは、生徒たちが全曲を知っているから。
それが半分成功したようなものなんです。曲の知名度がすごく助けになりました。おかげで全体の負担も少し軽くなったように感じました」。
チャーチは、ピットバンドの指揮者を探すために20人もの音楽監督に連絡を取ったそうですが、どこも多忙で引き受け手は見つからず、録音された音源を使うことに決めたとのこと。
「録音音源も本当によくできていて、キャストがその音に合わせて歌うととても素晴らしいんです」。
チャーチがユースシアター時代に学んだことのひとつに、「冬休み前に全員が台詞を完全に覚えて、1月には“台本なし”で稽古に入る」というルールがあります。今回もそれを適用しましたが、なんと全キャストが100%セリフを暗記して帰ってきたそうです。
「ちょっと無茶かなとも思ったけど、それが大きな違いを生みました。結果的に作業がスムーズに進み、成功に向けての準備が整いました」。
生徒たちも“新しい挑戦”に対応
生徒たちは、新しい演出家と、新しい演劇制作のスタイルに適応する中で、さまざまなスキルを身につけてきました。
「ある1年生は自分で照明卓の操作を学び、プログラミングして、明るさの調整までこなしてくれています。
私が『20番を50%にして』って言うと、すぐに反応して設定できるようになったんです」とチャーチは語ります。
多くの役割を背負いながらも、チャーチはキャストに絶大な信頼を寄せており、今回の公演をハイスクール・ミュージック・シアター・アワード(High School Music Theatre Awards)にも応募しています。
「彼らは本当に歌の才能がある子たちばかりです。特にシニアは何年も経験を積んでいて、その成熟ぶりがパフォーマンスに表れています。
資金の潤沢な大規模校の生徒たちと比べても、彼らの実力は引けを取りません」。
公演情報
- 演目:ミュージカル『マンマ・ミーア!』
- 日程:
- 3月21日(金)午後19時
- 3月22日(土)午後19時
- 3月23日(日)午後14時
- 会場:ショハリー・ジュニア/シニア高校(Schoharie Junior/Senior High School)(※)
- チケット料金:大人12ドル、学生10ドル
- チケット予約:パム・ゲスト(Pam Guest)までお電話で(518-295-6635、内線2)
※ショハリー・ジュニア/シニア高校(Schoharie Junior/Senior High School)は、アメリカ・ニューヨーク州のショハリー郡(Schoharie County)にある公立の中高一貫校です。地元のコミュニティと密接に結びついた、少人数制の学校で、地域に根ざした教育が行なわれています。