レビュー:Four Seasons Theatre Companyによる『マンマ・ミーア!』公演
ABBAは何十年にもわたって、その高い音楽性を保ち続けているバンドです。『マンマ・ミーア!』でその楽曲を楽しんだり、車の中で一緒に歌ったりと、私は昔からABBAのユニークなスタイルに惹かれてきました。
Four Seasons Theatre Companyは、キャッシュバレー(Cache Valley)(※)にミュージカル作品を届けている地元の劇団です。私は彼らが3月24日に上演した『マンマ・ミーア!』を観に行なってきました。
ABBAは今も変わらず人気があり、私の隣に座っていたカップルは、ロンドンまで行ってホログラムのABBA公演を観たそうです。
『マンマ・ミーア!』におけるABBAのヒット曲の音楽的な創造性と取り入れ方は、多くの人々に愛されており、私もその一人です。
魅力的な舞台美術とストーリー
ショーは、劇団が手がけた精巧なセットによって幕を開けました。立体的な建物に灯るランタン、夢のようなストリングライト、観客を物語の中に引き込むインタラクティブな演出――すべてが素晴らしく、観客はすぐにステージ上のギリシャの島の世界に引き込まれました。
物語は、ギリシャの島で結婚式を控えた娘ソフィと母ドナの関係を中心に展開します。
ソフィーは、母に内緒で自分の父親かもしれない3人の男性を結婚式に招待してしまい、そこから数々のコミカルな誤解ややりとりが生まれていきます。
現代メディアではあまり描かれない母と娘の関係をテーマにしており、『マンマ・ミーア!』は、家族の絆にまつわる葛藤と素晴らしさを描いた、爽やかで共感できる物語です。
ドナが自身の過去と向き合い、未来に向かって歩み出す過程が、力強い音楽を通して表現されていました。
圧倒的なパフォーマンス
俳優陣の熱意と情熱あふれる歌声に心を打たれました。
ドナ役のセレステ・ベイリオ(Celeste Baillio)は、キャラクターの仕草を完璧に再現し、力強く長く伸ばす高音も軽々と歌い上げ、観客を驚かせました。
特に「ザ・ウィナー」の後には、観客が歓声を上げるほどの大喝采が巻き起こりました。
「マネー、マネー、マネー」の曲中に椅子の上をドナが歩くなど、オブジェを取り入れた演出で振付が常に新鮮で創造的でした。
**振付師ケイティ・パッカード(Katie Packard)**は、曲にぴったりと合った動きを作り出し、時には魅惑的に、時にはコミカルに演出を引き立てていました。
観客と一体になる演出
物語のテーマは十分に練られており、深みを持ちつつ、明るく楽しいエネルギーを保っています。このバランスが観客を惹きつけ、リズムに合わせて拍手をしたり、笑い声があふれる場面も多く見られました。
ソフィの婚約者スカイを演じたジェフリー・シーモンズ(Geoffrey Seamons)は、ビーチのイケメンとしての魅力を見事に表現。
「レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー」では、シュノーケリング姿のアンサンブルが踊り、ロマンチックさとユーモアが満載でした。
中でも印象的だったのが「ヴーレ・ヴ―」の場面。キャストたちがカラフルな衣装で激しく踊る中、ソフィの父親候補たちが次第に招待された理由に気づき始めます。
舞台上の混乱は、ソフィーが状況をコントロールできなくなっていく心情を表現していました。明るい照明と突然の静寂が交互に入り、彼女の不安が強調されていました。
細部へのこだわり
細かい部分まで考え抜かれた演出が、この舞台を特別なものにしています。
場面転換では、俳優たち自身が小道具を持って踊りながら移動する演出で、まるで暗闇の中でパーティーをしているような雰囲気。
パーティーシーンではグロースティック(光るスティック)が登場し、インターミッション前のサプライズとなっていました。
また、舞台全体を囲むギリシャ建築の装飾もあり、観客をまるで地中海へと連れて行くような感覚にしてくれました。
「アンダー・アタック」では、ソフィが不安な夢を見るシーンがあり、私は他の『マンマ・ミーア!』公演でこの演出を見たことがありませんでした。
仮面をかぶった人たちが彼女をさらおうとし、夢のような不気味さが完璧に表現されていました。
その中でドナが出産し、スカイがウェディングドレス姿で3人の父と踊るという奇想天外な展開も。
さらには突然の紙吹雪キャノンが炸裂し、観客が驚く“ジャンプスケア”のような演出までありました。
鮮やかな衣装
衣装も明るく、カラフルで、ビーチらしいデザイン。
特にドナとダイナモスのオレンジとティールの衣装には圧倒されました。
それぞれの衣装は形や装飾がすべて異なりながらも、1970年代風に見事に統一されていました。
ラストの曲では、他のキャラクターたちも似たデザインの衣装を着て登場し、その個性的なデザインの美しさに感動しました。
感動のフィナーレ
ショーの最後は、観客全員が立ち上がってダンス・拍手・歌声を響かせる、まるで芸術と家族愛を祝うパーティーのようなフィナーレ。
感情を包み込むようなこの公演の締めくくりとして、完璧なエンディングでした。
『マンマ・ミーア!』は、Four Seasons Theatre Companyによって3月29日まで上演されています。
※キャッシュバレー(Cache Valley)は、アメリカ合衆国のユタ州とアイダホ州にまたがる谷(バレー)で、美しい自然と豊かな農業地帯として知られています。
https://usustatesman.com/review-four-seasons-theatre-company-performs-mamma-mia/