筆者は過去、『マンマ・ミーア!』の初日と千秋楽には全て観劇している。だが今回は過去の初日とは違った何かを感じた。
まずソフィの「かわいいぶりっこ路線変更」だ。樋口さん、吉沢さんに始まり谷口さんまでは、どちらかというと、まだ子供らしさが抜け切れていないソフィで役柄を固定してきた。しかし、今回は違う。それは役者に問題があるということではなく(事実、演技は他のソフィ同様巧い)ソフィのイメージを変えてしまったことだ。このことはソフィのフィアンセ・スカイにも言える。前々回より「イケメン路線」に変わってしまった。どうも札幌公演ではうまくかみ合っていない気がした。
一番ビックリしたのは樋口さんの声だった。「スーパー・トゥルーパー」「ザ・ウィナー」以外は声が全く出ていない。樋口さんらしくない。何かあったのか?返ってこちらがドキドキしてしまった。何もないことを願う。
サム、ハリー、ビルの男性3人組も元気がなかった。もっとハメを外してもいいのではないだろうか?初日ゆえの緊張だったのだろうか?
ターニャ、ロージーは安心して観れた。そう言えば10年間『マンマ・ミーア!』に立ち続けているのは青山ロージーだけになってしまった。
北海道は東京(関東)から飛行機で行くしかない。往復6万円はキツイ。京都公演ならば2回行ける。スキ―や温泉のついでに『マンマ・ミーア!』というのもありえないだろう。となると『道圏』しかから観に来る人がいなくなる。いくら北海道上陸を待ち望んでいたと言っても辛いところだ。
現在、世界的に『マンマ・ミーア!』は変わってきている。ロンドンは既に劇場が変わったし、アメリカも日本同様ツアーを始めた。日本だけではなく世界的に『マンマ・ミーア!』は岐路に立っているのではないだろうか?
ABBAは今年結成40周年だが、活動停止まで10周年にこだわった。『マンマ・ミーア!』日本公演も是非、10周年はクリア―していただきたいと切に願う。
カーテンコールだけは、他の劇場で観られない、悪く言えば「しつこさ」が、よく言えば「達成されるまで帰らない」という粘りが見られ、結果8回のカーテンコールがあった。
『マンマ・ミーア!』は現在南米でも上演され、ほぼ世界を制覇した。やはり終わりは近付いているのかもしれない。
だからこそ、『マンマ・ミーア!』を札幌まで行って観てほしいのだ。「どうせ、東京か大阪で再演するんだろう?」と言っていたファンもいたが、現況ではそれは99%ないと言っていいだろう。
北海道の景気は思った以上に低迷していた。東北震災復興もままならず、政治は庶民を無視して進み、消費税も値上げされ、エンタメ業界には全て逆風である。おまけに給与も上がらなければ、電気代もスマホ代も高くなる一方だ。とてもエンタメにお金を使えないのが正直なところだ。
2002年以来『マンマ・ミーア!』を観てきて、日本も、世界も、あまりにも変わりすぎた。
「文化を大切にしない国は滅びる」ことだけは政府や役人には言っておきたい。
『マンマ・ミーア!』の盛り上がりを願ってやまない。