いよいよ娘ソフィの結婚式が近づいてきたドナ。だが未だに心の中でもやもやしていることがある。それはハリーのことでもなく、ビルのことでもなく、サムのことだった。サムと会うたびにドナはぶつかってしまう。なぜって、本当は、ドナはサムのことを今でも…
<ツウの観方>
・ドナはなぜ怒るか?
・ドナを怒らせたのは誰か?
・ドナは「ザ・ウィナー」を歌い出すが、どんな服を着て、歌っているのか?
・ドナを怒らせた人は、どうなってしまうのか?
劇団四季『マンマ・ミーア!』再演記念⑲「ザ・ウィナー」
https://www.youtube.com/watch?v=X9gF5fqUgzk
https://www.youtube.com/watch?v=DbqLoTIYAaI
https://www.youtube.com/watch?v=EnwKe2VRsKM
https://www.youtube.com/watch?v=5lNY2O8eVn8
<DONNA>
I don’t wanna talk
About things we’ve gone through
Though it’s hurting me
Now it’s history
I’ve played all my cards
And that’s what you’ve done too
Nothing more to say
No more ace to play
The winner takes it all
The loser standing small
Beside the victory
That’s her destiny
I was in your arms
Thinking I belonged there
I figured it made sense
Building me a fence
Building me a home
Thinking I’d be strong there
But I was a fool
Playing by the rules
The gods may throw a dice
Their minds as cold as ice
And someone way down here
Loses someone dear
The winner takes it all
The loser has to fall
It’s simple and it’s plain
Why should I complain?
But tell me does she kiss
Like I used to kiss you?
Does it feel the same
When she calls your name?
Somewhere deep inside
You must know I miss you
But what can I say?
Rules must be obeyed
The judges will decide
The likes of me abide
Spectators of the show
Always staying low
The game is on again
A lover or a friend
A big thing or a small
The winner takes it all
I don’t wanna talk
‘Cause it makes me feel sad
And I understand
You’ve come to shake my hand
I apologize
If it makes you feel bad
Seeing me so tense
No self-confidence
But you see
The winner takes it all
The winner takes it all
The game is on agein
A lover or a friend
A big thing or a small
The winner takes it all
The winner takes it all
☆ABBA「ザ・ウィナー」トリビア☆
「ザ・ウィナー」はもちろん「勝者」の意味だが、この曲に関して言えば「勝者は全てを手に入れ、敗者は小さくなって消えていくだけ」という“破局した恋愛の悲しい残酷”を歌ったラヴ・バラードだ。一度聴いたら絶対に耳から離れない強烈で、美しいメロディ、愛に破れた女性が、その悲しみを力強く訴えかけてくる鮮烈な歌詞、わずか数分で物語を完結してしまう単純だが繊細なアレンジ。当時「ABBAももう終わりだ」と豪語していた世界の音楽評論家はこの曲を聴いて打ちのめされたと言う。「どうしてABBAはすんなりぶっ倒れないんだ」。完ぺきな楽曲としか表現できない名曲だ。
BGMをよくよく聴いてみると、たった二つのメロディ・ラインを繰り返しているだけだということがわかる。ピアノの音色が心に響く。それをアグネタが全身を込めて、リスナーに訴えかけてくる。この場から逃れることはできない。まるでミュージカルを観ているようだ。
結婚への憧れ、夢、希望。そして、それらが敗れた時の悲哀。歌詞は私小説であるかのように「一人称」で構成されている。後悔してももう後戻りでいない過去、どうしてこんなことになってしまったのかと言う悔しさ、辛さ、悲しさ。「私の居る場所は、あなたの腕の中だと思っていたのに…」。女性ならば誰でも感じていることだろう。
レコーディングが終わった時、作詞家のビヨルンは人知れず号泣したと言う。恐らく、そこにいた全員がビヨルンと同じ経験をしたことだろう。
この曲。もともと「ザ・ストーリー・オブ・マイ・ライフ」というタイトルで全く違うアレンジだった。だが歌詞を書いたビヨルンは「何かが違う、それはなんなのだろう?」と自問していた。そして作曲担当のベニーも毎日ピアノに向かい、悪戦苦闘した。ミュージカル、シャンソン…そんな想いが二人の制作者に浮かんだ時、楽曲は完成した。
アルバムの先行シングルとしてリリースされ、イギリス、オランダ、ベルギー、アイルランド、南アフリカ、コスタリカの6カ国でナンバー・ワンを記録。とりわけ『ヴーレ・ヴー』でディスコチックに走り、「ABBAはもう駄目だね」と悪評化をつけたイギリスでは、実に2年半ぶりにイギリスに1位を獲得。「ABBAはまだまだ凄いじゃないか!」。メンバーには大きな自信となった。北欧フィンランドとスウェーデンで2位、オーストリア、ノルウェイ、スイスで3位、ドイツとジンバブエで4位、フランスとメキシコで5位、イタリアとオーストラリアで7位、アメリカで8位、カナダとスペインで10位をマーク。アメリカでのトップ10入りは「テイク・ア・チャンス」以来のことで、アダルト・コンテンポラリー・チャートでは2週連続1位を獲得。日本ではもちろん1位だった。
この歌はどうも日本では大きく勘違いされ、テニス四大大会の一つ『フレンチ・オープン』のテーマ曲にしたり、スウェーデン人であるLILICOがNHKに言わされたのか?それとも本心なのかはわからないが「『ザ・ウィナー』は人生の応援歌にしている」と豪語(大きな勘違い)する有様。まるでZARDの「負けないで」が「人生の応援歌」であると勘違いしているかのように、この手の勘違いを平気で認めるメディアの姿勢に改めて唖然とする。
題名ではなく、歌詞をよくよく噛みしめて、聴いてほしい一曲である。
劇団四季『マンマ・ミーア!』再演記念⑲「ザ・ウィナー」(ABBA版)