『マンマ・ミーア!』“初”の「平日初演」。果たして観客は如何に!?外の寒さを吹き飛ばすくらいの“超満員”だった。
今回は“初”づくめの『マンマ・ミーア!』だ。まず、前述したように過去に『マンマ・ミーア!』が平日初演したことがない。2つ目に東京公演はいずれも『海』での開催だったが、今回は『四季劇場・秋』。他の演目では慣れしたいんでいる『秋』だが、果たして『マンマ・ミーア!』はどうなのか?心配は取り越し苦労だった。『海』と比べ『秋』の方が声の響きが良い。大満足の公演になること間違いなしだ。
オープニング。まずビックリしたのが樋口さんの顔が小さくなったことだ。ただでさえもスリムな樋口さんだが、相当のトレーニングを積んだのだろうか?とにかく“ハングリーな樋口”さんに会えたことは大きかった。筆者は樋口さんを10回以上『マンマ・ミーア!』で観てきたが、過去観た中で“今回が最高の出来”なのではないかと思う。樋口ドナの歴史は「3・11」の歴史と並行する。当初はインタビューにもあった通り、とても心中穏やかでなかったことだろう。だが今回の樋口さんの出来の良さは「樋口一座の座長」として、ようやく腰を据えて演じられていることが何よりも大きいのではないか?とにかく「毎日でも会いたいドナ」であることは間違いなしだ!
江畑ソフィもかなりストイックな生活を送ったのだろう。樋口さん同様「顔が小さく」見えた。またソフィとしての自信も過去にないほどの威力があった。完全にソフィと同化していた。今後が楽しみである。
サムに久々に阿久津さんが戻ってきてくれた。阿久津さんと樋口さんと言えば、2002年『マンマ・ミーア!』オープニング時は「スカイとソフィ」の関係だったが、今はサムとドナだ。タイムスリップした気分を味わえたのは筆者だけだろうか?2002年からMM!を観ている人にはまたまた楽しみが増えたわけだ。
青山ロージー、八重沢ターニャはいつみても“完璧”だ。青山ロージーは2002年オープニング公演以来の貴重な“生き証人?”。ますます磨きがかかっている青山ロージー、八重沢ターニャに期待大だ!
脇坂ビル、味方ハリーもすっかりお馴染みだ。ビルとハリーは演じる人によって、かなりイメージが変わるが、今のこの2人は最高のビルとハリーではないかと思う。
竹内スカイもようやく自信をもって臨んでいるような気がする。MM!では、あまり目立たない存在だが、「ラヴ・オン・ミー」では、大いに暴れてほしい!
ペッパーは今回は一和さん。一和さんがペッパーの場合、「ダズ・ユア・マザー・ノウ」の場面で“バク転”が見られるが、「アイ・ドゥ、アイ・ドゥ」の結婚式の場面では拍手である(指笛の時は他の演者)。こうしたちょっとした違いを観るのも『マンマ・ミーア!』の楽しみだ。
今回は「ダズ・ユア・マザー・ノウ」で、ターニャが寝ている場所が違った。というより元に戻った。劇場の広さのせいだろうか?「テイク・ア・チャンス」の場面ではビルはジャケットを振り回さない。
しかし過去筆者が34回観に行った『マンマ・ミーア!』で一度たりとも“同じ上演”はなかった。なので何回も観に行くことをお勧めする。違った何かが観られるかもしれない。
来年はABBAデビュー40周年!MAMMAMIA!15周年の記念すべき年!最高のスタートを切った『マンマ・ミーア!』。今後も足を運びたい。
<12月12日開幕メンバー>
ドナ・・・樋口麻美(以下、敬称略)
ソフィ・・・江畑晶慧
ターニャ・・・八重沢真美
ロージー・・・青山弥生
サム・・・阿久津陽一郎
ハリー・・・味方隆司
ビル・・・脇坂真人
スカイ・・・竹内一樹
アリ・・・朴悠那
リサ・・・若菜まりえ
エディ・・・ハンドコ・アクアリオ
ペッパー・・・一和洋輔
*写真提供「劇団四季」