『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』封切りまでついにあと一週間となりました。当サイトでは毎日「サウンドトラック」に沿って、ABBAの名曲を解説していきたいと思います。
その第九弾は「きらめきの序曲」。ABBA5枚目のアルバムLP・CD『ジ・アルバム』に収録されています。
劇中では、リリー・ジェームズが披露しています。
「きらめきの序曲」 THE NAME OF THE GAME
ビヨルンが特に意識して制作した楽曲。ABBAのイメージを根底から覆した挑戦作。六つのパートからなる楽曲構成の複雑さはもちろんのこと、アグネタとフリーダのソロ・パートとコーラスを複雑に織り交ぜたヴォーカル・アレンジも聴きごたえ十分だ。
ウェスト・コースト・サウンドやスティービー・ワンダーの「I Wish」にインスパイアされた作品だとか言われているが、ビヨルンとベニーによるとアメリカのイースト・コースト系ロック・バンド、ボストンのMore Than A Feelingに影響を受けたと語っている。
また、当時ベニーはイギリス出身のロック・バンド、フリートウッドマックの大ファンで、彼らのアルバム『噂』はレコード盤が擦り切れるまで何百回も聴いたようだが、この影響も垣間見ることが出来る。もともとのオリジナル・タイトルは「ア・ビット・オブ・マイセルフ」だったが、スティッグ・アンダーソンの助言で「きらめきの序曲」へと変えられた。
アルバムからの先行シングルとして一九七七年十月に発売されたが、当時のファンは戸惑いを隠せなかったのか、ヒット・チャートを駆け上がるまでには多少時間がかかった。それでも、イギリスではナンバー・ワンに輝き、ベルギーとオランダ、アイルランド、スウェーデンの四カ国で二位、ノルウェイと南アフリカで三位、ジンバブエとニュージーランドで四位、フィンランドで五位、オーストラリアとスイスで六位、西ドイツで七位、メキシコで十位をマーク。アルバムからのファースト・シングルということを考えると、当時のABBAとしては緩やかなチャート動向だったかもようだが、結果的には大ヒットとなった。ちなみに日本では最高位は一位だった。
ビヨルンは後に「この曲が今後のABBAの曲や歌詞に多大な影響を及ぼした一曲になった」と語っている。
前述したとおり、映画『ABBA・ザ・ムービー』に入れる曲が見つからず、候補に挙がったのがこの曲だった。映画の締め切りを考え、かなりハイペースに曲を仕上げなければならなかった。「もう少し時間があれば、もっと違った曲になっていたかもしれない」とビヨルンは後に回顧している。
きらめきの序曲*歌詞翻訳
短い間にあなたに2度会ったわ
知り合って、まだ一週間なのに
もうあなたに夢中よ
でも、私は、感じるの
逢うたびに、私の胸が高鳴っていくのを
愛なんて無縁だった私
誰も私のことなんか、相手にしてくれなかった
でもあなたの顔を見ればわかると思うの
あなたは、沢山のことを私に教えてくれる
知りたいの
何ていうゲームなの?
あなたにとって何か意味があるの?
教えて
私と同じ気持ちなの?
お願い、教えて
まだ子供なのね
大人になり始めているところよ
あなたになら、何でも話せる
あなたは、私を感じさせてくれる
あなたには全てをさらけ出せる
私が隠そうとしている全てを
もし、私があなたを信じたら
あなたは私をがっかりさせるのかしら?
私のことを笑うのかしら?
もし、あなたのことが気になっているって私が言ったら
こんな気持ち、わかってくれるでしょう
だからお願い、愛のすばらしさを教えてほしいの
私には友達なんていない
誘われたことさえ一度もない
今、私はここにいて
あなたに話し掛けている
わたしの胸はドキドキするの
あなたの笑顔や
あなたの声、
そして私をじっと見つめてくれるとき
私に選択肢なんてないように思えるの
でも、私にとってそれはとても意味があることなの
だから知りたいの