前作の『マンマ・ミーア!ザ・ムービー』では全くの無名のアマンダ・セイフライド(ソフィ役)が一躍有名になった。今回の『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』では同じく全くの無名のリリー・ジェームズが同じように世界的に有名になった。『マンマ・ミーア!』は“新人発掘”の場所なのかもしれないと思った方も多いのではないだろうか?
リリー・ジェームズは1989年4月5日生まれの29歳。女優としては遅咲きかもしれないが、今やイギリスの俳優、マット・スミスと同棲するほどまで、特にイギリスでは有名になってしまった。
先ほど「無名」と書いたが、それは映画界・TV界でのことであって、実は舞台では2016年に上演された『ロミオとジュリエット』でジュリエット役に抜擢され、注目を浴びた。だが海外では日本のように映画界、ミュージカル界、演劇界、CM界とそれぞれに口うるさい『組合』があり、日本のように、映画に出演したと思ったら、演劇にも出演して、しかもCMにまで起用!などのようなことは滅多にない。しかし、TVドラマ『24』の大成功により、その垣根は少しずつ崩されている。主演のジャック・バウワーを演じたキーファー・サザーランドはもともと映画界におり、お父さんは有名な映画俳優であった。だが、キーファーの場合は、映画界ではなかなか思うように行かず、『24』に出たところ、一気に世界的なスターへと駆け上った。彼の偉いところは「スタント」を使わず、撮影に臨んだところだ。その為、「1話=3,000万円」のギャラが入った来たそうだ。そうなると単純計算して、1話3,000万円×24話×8シーズンが『総所得』と言うことになる。すごい、すごすぎる・・・。
アマンダもそうだが、リリーが『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』で主演に抜擢されたのは、「歌が上手い」と言うこともあったのだろう。何しろ、前作ではアマンダ以外全員「歌の吹き替え」があり、ビヨルン、ベニーを泣かせた(笑)。特にサム役のピアース・ブロスナンは『ゴールデンラズベリー賞』で「最低助演男優賞」をめでたく(?)受賞。その為か、今回の『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』では、ピアースはほとんど歌っていない。「俺の歌う箇所は少なくないか?」と監督に抗議したとかしないとか。クランクイン前「一番気合いの入っていた」ピアースだけに、本作であまり歌を披露できなかったのは悔しかったに違いない。
さて話をリリーに戻そう。本作でリリーが主演を掴んだのは、「歌がうまい」こともさることながら、映画界ではまだ「有名でなかった」ことも幸いしたのかもしれない。何しろ『マンマ・ミーア!』にはメリル・ストリープを筆頭に有名人が総出演の映画のため、プロデューサーのジュディ・クレーマーは敢えて「若手中心」の作品にこだわったようだ。最後に“ベテランとの融合”も目的にはあったようだが、それは成功したかどうかは皆様の感想次第である。そして何よりビヨルンとベニーをびっくりさせたのはABBAのアグネタと同じ誕生日だったことである(4月5日)。ここまで来るとリリーを起用せざるを得ない。かくして、リリーは“ラッキー・ガール”となった。
今回のリリーの役は、ドナ(メリル・ストリープ)の若き日を演じた。筆者としてはもう少しゆっくり話が展開してくれてもよかったのではないかと思うが、結果、こういうストーリーになってしまった。だがリリーの「ホエン・アイ・キィスト・ザ・ティーチャー」はGOODだった。
『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』をこのまま終わらせてはいけません!皆さん、是非、劇場にリリー・ジェームズを観に行きましょう!きっと2回、3回、観ているうちに“彼女の虜”になるに違いありません!